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ポツンと酒場の奥に独り。
初老の黒人だった。
周りで適当な事ぬかして盛り上がってる連中を尻目に独酌する彼にひかれた。
オハイオ州アークロンにあるカフェでの事だった。
その日、一番良い演奏をしていたのは彼だった。
演奏に対する拍手は一番少なかった。
調子に乗って、周りに媚を売り続けるうざい白人の男がその日の拍手をかっさらっていた。
初老の黒人、JOHNの傍には誰も駆け寄っては来なかった。
抜群のグルーブでカッティングする姿に見惚れていた。
彼のGUITAR SOLOは燃え上がる炎のようだった。
火傷しそうなその炎は、どこか寂しげで青く燃えているような印象を受けた。
奥さんも子供も無く、最近始めた福祉の仕事をしているらしい。
アークロンの外れに安アパートで独り暮らしをしていた彼は僕をまるで本当の息子のように可愛がってくれた。
狭くて、ものが散乱するその部屋には何時も紫の煙が漂っていた。
昼なのに何時もカーテンは閉まっていた。
ブルースやファンクにおけるマナーを彼は懇切丁寧に教えてくれた。
深夜、よく二人でクラブへ踊りに行った。
二人でジミ・ヘンドリクスの曲をよく弾いた。
リトル・ウィングが、お気に入りだった。
どちらが歌うかでよく喧嘩した。
喧嘩したあとは、紫の煙をよくやった。
また、すぐ帰ってくるから。
そういって別れた。
僕は確かその頃まだ二十歳そこそこの餓鬼だった。
それ以来、彼とは会っていない。